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獺祭がニューヨーク州に蔵を建設中!

最近とても気になるニュースがありました。

いまや世界中で大人気の獺祭。フルーティーで薫り高い純米大吟醸の大量生産を可能にした画期的な蔵です。「安倍首相が応援していて、オバマ元大統領やプーチン首相も飲んだことがありますよ♪」とアメリカ人に説明すると、間違いなくオーダーします。大吟醸のなめらかな舌触りと上品な味わいは、万国共通の素晴らしさ。

その獺祭がアメリカの食に精通する大学と提携して、ニューヨーク州の北部に蔵を建設すると発表しました。発表自体は2017年に行われているようですが、HPに公表されたのは2018年の暮れ近く。

日本酒の人気は世界で右肩上がりと言われており、地酒の輸出量も伸びています。アメリカは日本酒の最大輸出国。数えきれないほどあるお寿司屋さんには、必ず数種類のSAKEが販売されています。しかしながら、アメリカでは大手メーカー(オオゼキ、白鶴、松竹梅等)の醸造する普通酒が一番身近で手頃な日本酒。なぜなら彼らは米国内工場で米国産のお米で日本酒を造り、生産コストや輸送コストを抑えているからです。

アメリカ国内で造られた日本酒の価格は、輸入された地酒の半額程度でしょうか。日本では耳にしないような斬新な名前で売られています。フレーバー酒も人気で、Cucumber(きゅうり)Coconut(ココナッツ)Mango(マンゴー)などがアメリカ人向けに販売されています。友人が「ココナッツフレーバーはローションのような味。」と表現したので、私は恐ろしくてチャレンジすることが出来ません(笑)。ですがアメリカ人にとっては立派な日本酒です。

この状況をガラッと変えそうなのが、この獺祭蔵のニューヨーク進出。

獺祭は地酒としては断トツの知名度を持ち、アメリカの日本食レストランには大抵置いてあります。特に300mlの小瓶サイズが、飲み物をシェアしないアメリカ人の文化によく馴染んだと思います。日本酒に初めて挑戦する人が、720mlの高額な地酒にチャレンジするのは勇気が必要です。小瓶サイズなら初めて日本酒を飲む人もトライしやすいですね。

獺祭がニューヨーク州の北部に蔵を構えるというのは、位置的に素晴らしい決定だ思います。大吟醸は寒造りが良いでしょうから、冬は雪が降るような寒い地域が良いですね。

そしてここは水質も、日本酒造りに適していると考えられます。

獺祭の蔵はニューヨークへ向かって流れるハドソン川沿い(飛行機が緊急着陸して有名になった川ですね。)に建設される予定で、そしてその上流にはニューヨーク住民に必要不可欠な水源があります。

水は軟水。アメリカは硬水の地域も多いですが、ここは水道水をそのまま飲むことが可能です。軟水は日本酒には最適ですから、まさにこの地域は酒造りにとっては最高の環境、と言えるのではないでしょうか。

カナダ側オンタリオ湖沿岸にあるトロントに、『泉』という酒蔵があります。日本の長野県宮坂酒造(真澄というお酒を販売しています)の杜氏をアドバイザーに迎え、日本の地酒を再現するクオリティの高い日本酒を作っています。実際に訪問しここで造られた日本酒も数種購入しましたが、北米で造られている酒の中では群を抜いていました。アメリカの大手酒造メーカーが造る純米大吟醸とは一線を画する“日本の丁寧な仕事”を感じました。しかしやはり小さな蔵なので、トロントで購入した以降アメリカで目にしたことはありません。

トロントとニューヨークの北部はどちらも五大湖に近く、やはり水が豊かな冷涼な環境が酒造りに向いていると実感します。

最後に獺祭のホームーページの一部を抜粋させていただきます。

「海外で日本酒ブームと言われて久しいですが、私たちの実感としては、日本酒はまだまだ日本食、日本文化に興味がある方にしか浸透していません。日本から輸入される高品質だけど輸送費等の関係で高価格な日本酒と、現地生産で安価だが品質的にはボリュームゾーンの酒、その二つをつなぐお酒を出したい。その事により、日本に興味がない方も巻き込み、Sakeのマーケット自体を大きくする、そしてそれにより、日本酒、日本文化の活躍の場を広げることにつなげたい。」

アメリカで日本酒の販売にも関わっておりますが、本当にその通りです。

日本食は人気と言われていますが、好んで食べる人はごく一握り。その中のさらに一握りが日本酒をオーダーするのです。自宅で飲む人などほとんどおらず、日本食レストランで飲む特別なアルコール飲料。私が知る限り、この国はまだまだハードリカーとビールが主流です。獺祭の蔵が出来ることで、アメリカ人にとって日本酒がフレンドリーな飲み物になり、そこから日本の地酒の消費、さらに日本の文化を知ってもらうことに繋がることを願っています。